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農民集体所有地の売買が可能に…!【朗報】

 中国の土地は、「国有地」か「農民集体所有地」のいずれかに分類されます。(厳密にはもう一つ、「人民解放軍後勤部の開墾地」もありますが、日系企業のビジネスには関係ないので割愛します。)
 日系企業が使っていいのは「国有地」だけで、この国有地に関して、①国家から(製造業では最長50年間の)使用権を買取る行為が「出譲」、②出譲を受けた機関から(残存使用期間の)使用権を転売してもらう行為が「転譲」、③賃料を払ってレンタルする行為が「出租」です。
 農民集体所有地の実質上の所有者は、「〇〇村の農民約300人」のような形で表され、農林水産業にしか使用してはならないので、日系企業が工場等を経てることはできません。
 しかし、アジア通貨危機が一段落した1998年頃から、リーマンショックが起こった2008年頃までの間は、中国全土で開発区建設ラッシュが起こり、地方都市の「にわか開発区」が、日系企業に正確に説明しないまま農民集体所有地を使用させている、という事態が、横行していました。正確な統計は存在しませんが、中国進出の日系企業が3万社と仮定すると、その10%の3000社近くは、この問題に関わらなければならない事態に巻き込まれている、と筆者は推測しています。
 この事態を解決するために有効と思われる朗報です! 2010年1月1日から新しく「土地管理法」が改正施行されることになり、以下のようなメリットが始まります。
 まず「土地管理法」の第63条の規定の変化を見てみましょう。
 改正前の第63条は、以下の短いものでした「農民集体所有の土地使用権は、出譲・転譲したり、非農業建設にレンタルしてはならない。ただし、土地利用総合規画に合致し法により建設用地を取得した企業について、破産や吸収合併などで法により土地使用権の移転が発生した場合を除く。」
 そして、改正後の第63条は全4項とかなり長いものになり、「集体経営性建設用地」という概念が現れ、「農民集体所有地でも、集体経営性建設用地と認められた部分は、出譲や転譲が可能となりました。
 まず第1項で、集体経営性建設用地が規定されています。「土地利用総合規画・城郷規画が、工業・商業などの経営性用途であり、かつ、法により登記された集体経営性建設用地であると確定した場合は、土地所有権者は出譲・レンタルなどの方式で単位あるいは個人の使用に供することができる。かつ、書面の契約を締結し、土地の境界・面積・工事期限・使用期限・土地用途・規画条件およびその他の権利義務を明記しなければならない。」
 続いて第2項からは、集体経営性建設用地についての細かい規定が記載されています。「前項が規定する集体経営性建設用地の出譲・レンタルなどは、その集体経済組織メンバーの村民会議の3分の2以上のメンバーあるいは3分の2以上の村民代表の同意を得なければならない。」
 そして第3項では、「出譲などの方式により取得した集体経営性建設用地の使用権は、転譲・交換・出資・贈与あるいは担保とすることができる。ただし法律・行政法規に別途規定がある場合や土地使用権者・土地使用者が締結した書面の契約に別途約定がある場合を除く。」とされています。
 最後の第4項では、「集体経営性建設用地のレンタルは、集体建設用地使用権の出譲と最長年限・転譲・交換・出資・贈与・担保などは、同類の用途の国有建設用地を参照して執行する。具体的方法は国務院が定める。」とありますので、今後細則が公布されるものと思われます。

 


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