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中国ビジネスは スクラップ・アンド・ビルドの時代へ

「中国経済の減速で最も打撃を受けるのは、日本である」とまことしやかに語るアナリストがいます。GDP世界第2位の中国経済の動向が、海の向こうの第1位アメリカではなく、すぐ隣の第3位日本により大きな影響を及ぼすだろう、ということでしょうか。国家単位の統計の遊びなら、確かに間違いではないのですが、何の実態も捉えていない分析です。

日本ほどの経済大国が、第4位以下の国より大きな影響を受けたとしても、日本企業1社ごとの影響額に割って考えればそれほど大きなインパクトではありません。むしろその逆風を巧みにかわしながら、いや、その逆風をうまく利用して、しっかり業績を伸ばしている日系企業もたくさんあります。

ビジネスにおけるリスク対処の基本原則は、(1)回避、(2)軽減、(3)転嫁、(4)受容、の4つです。
中国ビジネスにおけるこの4つの対応策について、詳しく検証していきましょう。

(1)の「回避」は、リスクそのものから逃れること、即ち中国ビジネスにおいては、中国に投資をしないか、もしくは投資を縮小する、ということです。中国での投資縮小は、多くのステークホルダーとの様々な軋轢を生み、難航するケースが続出しています。また当然ですが、リターンも少なくなります。

(2)の「軽減」は、モノの分かったアドバイザーを起用してハンズオンで進めることで達成可能です。基礎となる法律や税務の知識を正確に把握した上で、近未来に起こるであろう事態を想定して、そのリスクを極小化するための対策を講じます。税務局や税関から難癖をつけられるリスクや、社内で不正が発生するリスクは、対応次第で軽減することができます。

(3)の「転嫁」の一つは、取引先に背負わせることですが、先方との力関係がポイントとなります。保険を買うことも転嫁ですが、保険会社側も中国の一般のビジネスリスクに付保することに対しては、慎重です。

(4)の「受容」は、リスクを孕みながらも、敢えて何もしないで事業を進めることです。

現状は、大多数の日系企業が、(1)~(3)の対応をとらずに、結果的に(4)を選択したのと同じ状態にいます。

一定のコストがかかる(2)や(3)には踏み切れない、という事情もあるのでしょうが、私ども経営コンサルの立場から見るに、大企業から中小企業に至るまで、(2)の「軽減」を主眼に据えつつ(1)の「回避」までをも達成している現法こそが、永い年月に亘って最も大きな成果を収めています。

そのためには、現地法人の「経営年限」を意識しつつ変化するマーケットに対応した経営戦略を、継続して遂行していくことが必要です。10年も経てば、顧客のニーズもすっかり変わり、IT投資や外部コンサルへのコストのかけ方も同じではなくなるでしょう。また、不採算部門の廃止と人材の有効的アロケーションや削減も必要となっていきます。

スクラップ・アンド・ビルド、企業経営は常にこれの繰り返しです。「壊す」ということを恐れない持続的な現法経営を目指してください。■

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