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病気休暇中の従業員への給与はどう計算?

Q)病気休暇中の従業員には、約定給与の70%を払えばよいのでしょうか?

A)労働契約にどのように記載しているかによって、①賃金の100%、②賃金の70%、の2つの解釈があり得ます。

 病気休暇中の従業員は、直接的には現法の収益に貢献できていないのですが、雇用関係は継続しているので、一定の賃金を支払う上に、社会保険も加入続けなければならず、現法にとっては頭の痛い問題です。
 病気休暇中の賃金については、上海では2016年8月に下記の弁法が施行され、明確に定義されました。今後、他の街でも同様の明確な基準が出されることを期待します。
 結論としては、労働契約もしくは集団契約(賃金専門項目集団契約でも可)において、従業員の月賃金が明確に規定されていない場合は、残業代を除く基本賃金の70%の支給でかまわないのですが、労働契約等において月賃金が明記されている場合は、100%を支払わなければなりません。
 病気休暇の従業員数はそれほど多くはないかと思いますが、中国の労働行政は、まだまだ「労働者保護的スタンス」が強いことから、このような弱者は手厚く保護しなければならない(かつ、そのコストは会社が負う)仕組みとなっています。

(写真は、高速鉄道・上海虹橋駅の列車案内)
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(以下、参考法令)
「上海市企業賃金支払弁法」(上海市人社局・2016年8月1日施行)
9、企業が、労働者に時間外労働を手配する場合には、規定に従い時間外労働賃金を支払わなければならない。労働者が法により、婚姻休暇・葬儀休暇・親族訪問休暇・病気休暇等の休暇期間を享受する期間において、企業は、規定に従い休暇期間賃金を支払わなければならない。
 時間外労働賃金及び休暇期間賃金の計算基数は、労働者が所在する職位に対応する正常出勤の月賃金とし、これには、年末賞与・通勤交通補助・業務食事補助・住宅補助・中番遅番手当・夏季高温手当・時間外労働賃金等の特段の状況において支払われる賃金を含まない。
 時間外労働賃金及び休暇期間賃金の計算基数は、次の原則に従いこれを確定する。
(1) 労働契約に労働者の月賃金について明確な約定がある場合には、労働契約で約定した労働者の所在する職位に相応する月賃金に従い確定する。実際の履行と労働契約の約定とが一致しない場合には、実際に履行する、労働者の所在する職位に対応する月賃金に従い確定する。
(2) 労働契約に労働者の月賃金を明確に約定しておらず、集団契約(もしくは賃金専門項目集団契約)において職位に対応する月賃金について約定している場合には、集団契約(もしくは賃金専門項目集団契約)に約定する、労働者の職位と対応する月賃金に従い確定する。
(3) 労働契約及び集団契約(もしくは賃金専門項目集団契約)のいずれにも労働者の月賃金について約定していない場合は、労働者の正常出勤月に従い第2条所定の賃金(時間外労働賃金を含まない。)の70%に従い確定する。■


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